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なんななナンセンス

益体もないナンセンスなことを、ある程度は掘り下げて考えた

東京五輪追加スポーツ「飛び込み営業」

2020東京オリンピック新種目

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営業という職種は自動車産業の様に裾野が広くツブシが効く汎用性の高い仕事です。素養は必要ですが資格は要りませんし、新卒からシニア人材まで誰でも始められて給料も高めの花形ワーカー、飛び込み営業マン。

世界で最も競技人口が多いホワイトカラーかもしれませんね。

審査基準は商材と飛び込み先のギャップ

一般的な企業で営業マンを評価する基準なんてどこもだいたい決まってます。粗利です。そんなんオリンピックで競ったってつまらない。飛び込み営業の芸術性も多様性も加味されていない。

第一、利益の最大化を目指すなら飛び込み営業は効率悪すぎるし、もっと優先すべきタスクが他に沢山あるでしょう。だから五輪で競うのは数字ではなく「スゴさ」。

1回戦 会社員の家庭に飛び込んで不良債権を売る

一般家庭に不良債権の権利書。要らない。使い道が分からない。持て余しすぎワロタ。

絶対困る。お父さんとお母さんと子供達がみんなして頭を抱える。いくら家族会議を開いても結論が出ない。産業再生機構でさえ引き受ける不良債権は吟味するのに。企業再生方法も資産清算方法も分からない。

でもそんな情弱一家に不良債権を買わせた営業マンだけが一回戦を通過できます。相手は一応一般消費者ですから、これまで培った普通のセールストークが通じるかもしれません。

2回戦 マフィアの事務所に殴り込んでマシュマロ1年分を売る

見張りの下っ端をぶっ倒してドアを蹴破って喧嘩腰に闖入してきたヒョロいネクタイ男が怖いマフィア幹部に売りつける商品はぷにょぷにょ甘いマシュマロ菓子を1年分。

1日あたりのマシュマロ消費量は分かりませんが、1年分ならきっと段ボール箱で10箱くらい。それを担いでゴッドファーザーの世界に飛び込み営業していただきます。

必需品であるチャカやらポン刀を売ればきっと飛ぶように捌けるでしょう。しかしオリンピックで使う商材はどう見てもマフィアに似つかわしくないマシュマロ。しかも1年分。絶対食べきれない。組員全員で分け合ってもこんな甘ったるいもの難しいのでは。

門前払いどころか命の危険すらある相手に、マシュマロが持つ優位性を力説してください。幸福感、高い栄養価、摘んで得られるぷにょぷにょの気持ち良さ、女子ウケの高さ、抗争相手に投げつけた時の精神的ダメージ。

優秀な営業マンならマフィアにとってマシュマロがどれだけ高い付加価値を秘めているか、伝えられるはず。相手のご機嫌を損ねないように、ね。

3回戦 テロリストの本拠地に潜入して国旗を売る

お前、消されるぞ…との忠告も虚しく、敵国の国旗を目の前で広げられたら反射的に銃殺したくなりますよね。営業活動中の被弾による死亡は殉職となります。

今なら世界の火薬庫こと中東を中心に国際テロリストが狭そうにひしめいています。オリンピックは平和の祭典。平和を脅かすテロリズムの根絶は矛盾しません。

手始めとして、敢えて刺激的なシンボルである国旗。五輪金メダリストが体に巻きつけるあの大きい布をテロリストの本拠地に飛び込み営業してもらいます。

極めて危険な紛争地域ですが営業選手は生きて帰って来るだけでは50点。ノルマで与えられたこの枚数を完売できた選手こそ100点。どの国の国旗をテロリストに売りつけるかはランダムに決定されます。

テロ組織に武器供与してるような枢軸国の国旗なら難易度はガクンと下がり、容易く売り抜けられるでしょう。一方、世界の警察を引き身気味に自認してる星条旗を身体に巻いて中東入りしようものなら…お察し下さい。

決勝 神に宇宙の法則を売りつける

ラスボスは神ですね。オリンピックが創設される何億年も以前からこの世界を作って生きてきた存在に、この世のすべてを買っていただきましょう。

人間のくせに生意気だ、と不遜に感じる方もおられるでしょう。仰る通り。神と取引できる崇高な人類はハリウッド映画の中になら大勢出てくるんですがね。

そういう時の取引材料は人類滅亡の回避だとか、もっと俗っぽく恋人一人の命を救うためとか。神と戦うにあたって等価交換できるほど価値があるとは思えませんが、こういう下克上な展開は人類にとって気持ちが良いのでしょう。

オリンピックは神に対してもフェアプレーの精神で接します。神と人間がwin-winの関係になるため神にとって魅力的に映る商材を。すなわち宇宙の法則そのもの。本当に欲しいものは、失って困るものでもある。当然ですが神は全知全能なので、すでに宇宙の法則を乱す力くらいは持っているでしょう。

でも「間に合っています」と言われて引き下がるようなら営業マンに向いてません。そこで宇宙の法則を猛プッシュできなくて何の営業マンですか、この給料泥棒め。

数々の修羅場をくぐり抜けて達成した飛び込み営業業務は、同伴した上司によって水泳の飛び込み競技よろしく採点され評価値を下されます。現場へ飛び込む際の芸術点も加味されるため、外資系一流企業の人事評価よりも厳しい模様。

見事、金メダルに輝いた営業選手はしかし、民間企業から殺到するヘッドハンティングに応じる人は稀なんだとか。リアル戦場を経験してPTSDに罹患する五輪選手も多いです。

そしてテロリストの地下牢獄に飛び込んでバンカーバスターの恐怖に晒されるよりは、温水プールに飛び込むほうがマシだと水泳飛込競技に転向する選手が後を絶たないという結果に。さすがツブシの効く職業、飛び込み営業マン。