オリンピック馬術部門にニューフェイスが登場。合戦の華、「流鏑馬(やぶさめ)」術が東京オリンピック新種目として競技化。
大河ドラマで実演ロケのために、おそらくは他で使うこともあるまいと思いつつ訓練して仕込んだ流鏑馬の技を、今こそ世界の大舞台で。流鏑馬は、乗馬して駆けながら馬上から弓を射て的に当てる戦国時代の実戦馬術。馬術と弓道の両方を求められ、戦場で的を外したら命に即関わるガチンコ勝負だ。
安全に配慮された現代オリンピックでも怪我の危険は常にあるが、加減を知らない古代オリンピックの死と隣り合わせっぷりには遥かに及ばない。そこはまさに戦場で、流鏑馬の技術は現代馬術の粋を集めた五輪の舞台でこそ輝けるだろう。
オリンピックの流鏑馬術ルールは日本国で開催されるスポーツ流鏑馬競技の一般的な規定に準拠している。全速力で駆ける馬上から、数メートル離れた複数の的に立て続けに矢を射てポイントを競う。
最初の的から最後の的までの間にはギリギリの制限時間が設けられているため、馬の速度を緩めるわけにはいかない。しかし早く走れば走るほど鞍上は不安定になり、エイミングがブレる。馬と人、お互いにとってベストな条件が勝利のカギなのは、既存の馬術競技と共通している。