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なんななナンセンス

益体もないナンセンスなことを、ある程度は掘り下げて考えた

2020開催五輪新種目「リモコン取ってー」

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炬燵に、蜜柑。
それから猫とお煎餅。

あとは日本茶と、あと今では貴重になったブラウン管テレビですかね。
昔の私達の、冬になったらごく普通の一般的なお茶の間での過ごし方でした。

のほほんと平和的な日常。
今この時も、毎日がそうであったらなあと日々しみじみ思うこともあったり。

仕事や人間関係でギスギスし、競争とか優劣を追い求めることに埋没しがちな現代生活です。
学生さんにも成績とかクラスメート関係の悩みは尽きないでしょうし。
社会人になったらなったでまた別の、しかも昔以上に他人と共有し難い悩みが発生します。

それはそれは子供のころに体験した、家族間で毎夜繰り広げられるテレビのチャンネル争いなんて可愛いものですよ。

観たいテレビ番組を巡ってチャンネルを変え合う駆け引きですが、今考えたら簡単でどうでも良いような出来事だったように感じるかもしれません。

時にはリモコンの争奪戦が発展して、手や足が出始めてリアルバトルへ突入することもあると聞きました。
時として権謀術数をめぐらし鬼になってでも好きなチャンネルへあわせるのだと。 なんと愚かな。

いえいえ学校で流行ってるテレビドラマやアニメを見逃したらおしゃべり話についていけなくなり、口数が減り、ひいては仲間内からハブられて孤立し、不登校やイジメ問題へと変容する危険を孕んでいます。

リモコンを制し、チャンネル争いに勝つことは、貴重な青春を健全に過ごすために必要なのです。

これは日本だけではなく、テレビが生まれた後の世界各国で同時多発的に行われた戦闘形式です。
まさにシンクロニシティ。
当然、チャンネル争いに関わる様々な戦術やノウハウが数世代に渡り蓄積されました。

そして2020年。
試合のゴングが「リモコン取ってー」の一言はそのままに。
リアルバトル化を未然に防ぎつつ、究極の技術とメンタルを追及した結果、試合形式はチャンネルをいかに素早く変えるかという方向へ固まっていきました。

テレビのチャンネルを最速で変更する、タイムアタックです。

こたつでぬくぬくしながらリモコン取ってもらう

2020年東京オリンピックで開催が検討されている本競技「リモコン取ってー」は二人一組で行われるダブルス競技となります。

舞台は日本風のお茶の間。
一人はこたつ、もう一人は入口からのスターティングポジションです。

これより競技の流れをご説明いたします。

まず一人がこたつでぬくぬくしています。
テレビ番組を観ております。

みかん又はお煎餅の持ち込みは自由です。
但しアルコールのたぐいはドーピング規約違反となりますので禁止。 甘酒はギリギリセーフです。

そろそろ番組も見飽きたし、別のチャンネルに変えたいなあ、と思います。
ところが近くにリモコンが見当たりません。

部屋の中を見回して、探します。
このとき、こたつ選手はリモコンの置き場所を言葉や指差し等で教えてあげることができます。

いかに迅速にリモコン位置を発見させ、取りに行かせるかが、本競技の見所の一つですね。
リモコンが置かれている場所は完全にランダムであり、箪笥の上や仏壇の前だったり、ソファーの下に滑り込んでいたりして地味にリアルです。

リモコンを渡す選手はダッシュして一秒でも早く手に取り、こたつ選手へ渡さなくては行けません。
距離が近ければ手渡しできますが、部屋の隅の方だったりした日にゃ、大きく振りかぶって投げ渡したり。

このためだけに速球とコントロールに定評のあるメジャーリーガーを起用する国もあるといいます。

さて、渡す選手の奮闘の活躍により、無事にこたつ選手の手にリモコンが届きました。
試合は佳境へと突入します。

観たいチャンネルに世界一早く変える能力を競う

こたつ選手には、言語に堪能であることが求められます。
テレビ欄が掲載されている新聞紙はオリンピック開催国で配達されるものだからです。

2020年は東京なので、日本語の新聞のはずですね。
採用される新聞は日経か産経か読売か毎日か朝日か聖教か赤旗か未定ですが、どれになっても一悶着ありそうで今から憂鬱。

英字新聞?
甘えですねそれは。

スポーツ試合の場に甘えなど不要。

見た目は炬燵でぬくぬくテレビを見ているだけのように見えますが、一般人には真似できないような、極めて高度なテクニックの応酬が繰り広げられているのです。

具体的にどのようなテクニックなのか気になります。
私も一般人のはしくれとして、とても興味がありますね。

2020年東京五輪で設営されるリモコン取って―会場の観戦席を今からでも予約したいと思います。 舞台はお茶の間なので、座席は極めて少ないことが予想されますから。

1会場につき座布団席が2~3席と、ソファー席が2席くらいでしょうか。
こたつは選手の戦場なので、一緒にぬくぬくするとかは出来ないと考えられます。
生で観戦できない他のニモコン取ってーファンの皆様は、ご自宅のリアルお茶の間で地上波デジタルハイビジョンにて試合の様子をご覧ください。

かくしてラテ欄で閲覧したい番組を瞬時に決めたら、リモコンをテレビに正確に向けて該当するチャンネルのボタンを押しましょう。
リモコンの向きをミスったら赤外線の電波がテレビに届きませんし、別のチャンネルのボタンを押し間違えると競技終了としてみなされません。

チャンネルが切り替わった瞬間、SEIKO製のストップウォッチが停止して、リモコン取ってー競技のタイムアタックが終了となります。
お疲れ様でした。

他国の全選手も競技が完了し、最終的にチャンネルを変え終わるまでの時間記録が最も短い国の勝利です。

リモコン取ってー競技、金メダルおめでとうございます。
世界で最もテレビのリモコンからチャンネルを変えるのが早い人達であると認定されました。

帰国後には出身の地元をあげての凱旋パレードが待っています。
特設ステージ上のインタビューで話す勝利コメントを今から考えておきましょう。 この様子もテレビ中継されます。

胸を張りましょう。
そのスピーチだけでなく、そもそもこの競技がナンセンスでくだらないと感じられたために、今まさにテレビの向こう側で別の番組に切り替えようとリモコンに手を伸ばしているどんな視聴者よりも、リモコン取ってー金メダリストはチャンネルを変えるのが早いのですから。