消したい過去、ありますか?
私の場合、おそらく人の10倍はありますね。
と聞くと、そんなはずはない、自分の方こそ消したい過去がもっと多いはずだ、と訴えたい人も多いでしょう。
まあ「消したい過去の数」自慢大会はこのくらいにしておきまして。
残念ながら現バージョンのソーシャル消しゴムは、脳内の記憶や地球上の恥ずかしい過去を消すほどの機能を備えていません。
ソーシャル性というポイントから見て不要だからですね。
技術的に出来ない言い訳なんかじゃないんだからね。
都合の悪い記憶だけを消すとか、そうゆう架空のあんな夢やこんな夢は、どうせ2112年の未来が来たら青色タヌキ風ロボットが希望小売価格で発売されますので、それ予約しとけば大丈夫。
今から貯金を続けて、ハイパーインフレとか起きなければ、きっとAmazonで買えますって(無責任)
消す、という機能に特化している消耗品としての消しゴム。
世界で初めてケシゴムを発明した人。
まさか未来でネットに接続されて、ソーシャル化するとか思いもしなかったでしょうね。
消した文字や絵をクラウドに記録、驚異のアンドゥ機能
ソーシャル消しゴムは字や絵を消すとき、消しゴムカバーのふちに装着されたスキャナーが紙面の情報を読み取って電子データとしてクラウドに保存します。
どんな消し方をしても、センサーが紙面とソーシャル消しゴムの向きを追尾して2次元上にjpg画像を生成できます。
こうして認識されたデータはクラウドストレージからいつでもダウンロードでき、もちろん一般的な画像ファイルと同様に印刷できます。
つまり、紙から消しゴムで物理的に消し去ったアナログな情報をクラウドを通じて復元できる機能というわけです。
よく言う脅威のテクノロジーとは、こういうものを指すんでしょうか。
存在を消すのも元に戻すのも思いのまま。
STAP細胞なんてメじゃありません。
ついに消しゴムは神の領域へ、また一歩。
シャーペンで刺されたら「いたいね!」
退屈な授業中に、多くの男子と何人かの女子が一度はしたことといえば、鉛筆やシャープペンシルで消しゴムをザクザク串刺しにすると行為です。
懐かしい、と思い出してると、またやりたくなってきますね。
ぐにゅっというか、むにゅっというか、あの感触がクセになるんですよ。
おかげで消しゴムは醜い穴ぼこだらけになりますが、気にはしません。
消しゴムは無口ですからね。
鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず。
声あるものは幸いです。
シャーペンの先でグサグサ刺される度に声を上げてアピールする消しゴムがあったら、それでも皆さん止めないでしょうか。
ソーシャル消しゴムは刺されて穴が開いた瞬間に、フェイスブックで「いたいね!」と叫びます。
いいね!感覚でね。
これほど自己主張する消しゴムも珍しいでしょう。
落とした時に拾ってくれた女子のツイッターを自動フォロー
ソーシャル消しゴムには、若干、気持ち悪い機能がついています。
ポロッと床に落ちた消しゴムを、親切にも拾って届けてくれた前の席の女子。
ありがとう。
何かの縁です。
彼女のツイッターを自動でフォローすることにしましょう。
消しゴムを拾ってくれるなんて、嬉しいじゃないですか。
その気持ちは本物です。
ソーシャル消しゴムの取り柄といったら、ソーシャルメディアと繋がれることくらい。
全力をもって、前の席の気になる女の子とつながせて頂きます。
もし2回目の消しゴム落としがあったら、彼女のアカウントに「さっきは消しゴム拾ってくれてありがとね!」と自動でDMします。
ツイートではありません、ダイレクトメッセージのほうです。
自分でDMするのは、@付きツイートよりもハードルも高いし勇気も要ることでしょう。
大船に乗ったつもりで、ソーシャル消しゴムを落としてください。
誰かにシャーペンでメッタ刺しにされたソーシャル消しゴムから始まった恋。
時は過ぎ、やがて別れを迎え、消し去りたい過去になったとしても。
その頃には念願の、嫌な記憶の消去機能も搭載してバージョンアップを果たした次世代ソーシャル消しゴムを、是非ご愛顧ください。