なんななナンセンス

益体もないナンセンスなことを、ある程度は掘り下げて考えた

何も活動しない「無活」がブームだった! 引きこもり激増は無活流行の結果?


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プロの引きこもりは、両親が死んだ後もヒッキーを続けられるよう、今から入念に準備している。ただダラダラ怠けるだけの毎日では、引きこもりとして二流、三流、いや映す価値なしだ。

「何もしない」を追求すると実に多くの準備作業に忙殺される。具体的な「無活」の実態を紹介しよう。

衣食住の自動提供

引きこもりにも衣食住は必要だが、毎日服を洗濯して、自炊し、家の掃除をするなど愚の骨頂。やはり誰かに代行して欲しい。家政婦さん、いやアニメ好きキモオタニート的にはメイドさんを常駐させて全ての家事を代行してもらおう。無活では、メイドさん雇用にかかる費用をあらかじめデイトレード等で稼いでおく。

不労所得の確保

だがデイトレーダーは寄り付きから引けまでロウソクモニターの前に噛り付いていなければならず、FXに至っては24時間労働だ。これでは何もしない無の生活には程遠い。引きこもりニート的には、やはり不労所得が望ましい。

手作業のデイトレではなく、ヘッジファンドが開発しているようなプログラム売買で自動化する。そして不動産や金融商品のように完全放置で利息や配当、利ざやを生む所得を増やす。無活では、稼いでいる時さえ何もしないで済むようにする状態を目指す。

精子バンク登録

さて、寝ていても収入が転がり込み、身の回りの世話はメイドコスプレしたメイドさんがやってくれる。人生がゴールして、もう何もすること無いように思えるが、より完璧な無を目指すため、種としての本能も満たすことにする。

自分の種の保存、子供だ。しかし今から彼女を作って結婚して、と引きこもりには考えられない。そもそも子供と結婚は別物であり、子供が作れさえすれば結婚制度は必須ではない。自分の子孫、遺伝子を残せるなら、形にこだわらない。例えば精子バンクや卵子バンクに遺伝子情報を提供して、どこの馬の骨とも知れない誰かの子供として受け継がれていく形も考えられる。部屋から極力出る必要がない引きこもりにうってつけの無活だ。

試験管ベビー、代理母、里子の利用

それでも我が子を一度はこの手で抱いておきたいなら、まずは卵子バンクから卵子を入手する。そして自分の精子を採取して試験管ベビーとして人工授精を実施。しかるのち海外等で代理母を依頼し、出産後は養子を斡旋する団体に里子として出す。既存の結婚観に縛られている人から見ると愛情のカケラも感じられないかもしれないが、考えられる中でこのメソッドが無活の究極形態に近い。

遺書作成と成年後見人の依頼

さて、資産も子孫も作り終えた。最後に自分の責任を果たすため、終活へと洒落込もう。自分の人生の終わりをセルフプロデュースする。まずは遺書の作成だ。死後に残るであろう財産を各相続人へ適当に配分してくれ。迷ったら全部を国庫に寄付しよう。

また、すんなり死ぬ人は稀で、内臓の病気で苦しんだり、認知症を発症して曖昧な自我がフェードアウトする死も一般的だ。自分の責任が取れなくなる前に、成年後見人制度を利用してバックアップを確保しておこう。これで後世の心配が無くなった。無活がまた一歩前進した。

ハードディスクの自動削除

おっと、パソコンの中も無にしなくては。他の人に見られたら恥ずかしいあんな画像ファイルやこんな動画ファイルがてんこ盛りだ。一定期間のログインがないと自動的にハードディスク内のデータを抹消するソフトがある。これで自分の存在は恥ずかしい所も含めてキレイさっぱりこの世から無くなる予定だ。

無活は素晴らしい。人は一人では生きられない、といった使い古された迷信を否定できたばかりか、気づいてみれば無駄な人間関係を一切無くして欲しいものだけを手に入れている。しかも誰にも迷惑をかけていない。死後の段取りまで準備万端だから両親を心配させることもない。

これだけ完璧な人生設計なら、何も活動しない無活がブームになるのも頷ける。