全ての女の子に捧ぐ、疑似料理の祭典が今度の東京オリンピックに新設されました。
見た目は完全な本物の料理。素材は全て、遊び場の公園にある砂、泥、植物など。
昔から各ご家庭に伝わるままごと料理の腕前を、世界レベルの完成度で再現してもらいましょう。
公園で試される生活力
女性選手はママとしてパパや子供に喜ばれる料理を作る家事力、演技力が試されます。公園で。
お隣さんから頂いたほうれん草のおひたしよ、といって園内に生えてる雑草を水飲み場の水でもみ洗いしてしなしなにします。
テレビ中継を通じて全世界のままごとファンが見守る中、パパ役の選手も食べるふりに神経を研ぎ澄まします。ははは、お隣のお婆ちゃんが作るおひたしはアク抜きのさじ加減が絶妙で旨いなあ。
くれぐれも本当に食べてしまうのはNGですよ。それではままごと遊びになりません。いや、これはオリンピック競技という名のゲームであって、遊びではないのだ。
選手は一流のシェフと一流のレプリカ職人により技術指導を受けた一流の舞台俳優が主流 その辺の大根役者ではありません。ままごとだけに。
子供の頃から全国ままごとジュニア選手権大会で好成績を収めた経験と実績豊かなままごと界のサラブレッド達が、全国ままごと協会によって推薦され東京オリンピックの舞台へと送り込まれます。
規定ままごと料理と創作ままごと料理
新種目ままごとの部門は指定料理と創作料理に分かれています。フィギュアスケートでいうショートプログラムとフリースケーティングのようですが、違うようでいてそんなこともないかもしれません。
指定料理のレシピは雑草のサラダや泥団子など、昔から近所の公園で親しまれてきた一般的な献立になります。
この辺、リアルお料理ではカレーや肉じゃがなど基本中の基本にあたりますね。誰もが知っているからこそ手を抜けないシビアなままごとセンスを要求されるでしょう。
創作料理は公園の素材を自由に組み合わせて調理します。各ままごと選手、自国の郷土料理を絡めて存在感をアピールしてきます。
実際の競技会場である公園はオリンピック開催直前まで非公開ですから、競技が開始されたその場に生えている雑草、砂場や土の質感、台所や調理に使えそうな遊び用具など、臨機応変な柔軟性も求められるはずです。
禁止事項と一番ままごとに大切なこと
本当に食べるのは禁止行為。失格ですからね。確かに泥団子にかぶりついたら本物っぽく見せつけられるし説得力も生まれるかもしれませんが、リアリティーを求めすぎてもダメ。ゲテモノ食い大道芸じゃないんですから。
おままごとの範疇で最善を目指しましょう。大切なのは健全なおままごとの心。メシマズで良いのです。食べられないものを今にも食べようとするから面白いんですから。
ままごとといえど料理は料理。美味しい嘘料理も、楽しく演出された食卓も、決めては込められた愛情の量だということですね。