オリンピック。人類は、いかに早く走り、いかに高く飛べるかを競い合ってきました。そんなオリンピックの新競技で提案したいのが、文字通り逆を行く「逆競歩」。
競技人口が多いほど、そのメダルには価値が出てきます。ならば、いかに遅く歩くかを競う「逆競歩」ならば、参入障壁も低そうで競技人口が多いはず。つまり、これを制したものは「キングオブオリンピック」と言っても過言では無いのではないでしょうか?
ルールは競歩の逆。ゆっくり50km歩きます
ルールは競歩の逆で、いかにゆっくり50kmを歩けるかを競います。あまりのゆっくりさに、止まって見えますが前に少しでも進まなければなりません。これは簡単なように見えて難しいです。あくまでも競歩ですので、足は地面についていなければなりません。
両足が離れたら、審判から警告されてしまいます。さらに、前脚は接地の瞬間から地面と垂直になるまで膝を伸ばすことが必要になります。これも、守らなければ反則です。実際にやってみるとわかりますが、これを「ゆっくり」するとなると、超難しいです。
完全に立ち止ったら失格! 転倒、寝落ち、逆走もアウト
さて、この「逆競歩」にはなかなか侮れないルールがあります。失格事項として「完全に立ち止まる・転倒・寝落ち・逆走」があります。ゆっくり歩こうとすると、この失格事項のどれもに陥るかもしれません。
特筆すべきは寝落ちと逆走。ゆっくり歩きすぎるあまり眠気に襲われ、朦朧として方向感覚が鈍り、いつの間にか体が回転していて別の方向に歩き出す、なんてことにならないように注意しましょう。
トイレの寄り道は競歩と同じく、失格にならずセーフ
しかしこの「逆競歩」には、失格にならない例外ルールが存在します。それは競歩と同じく「トイレの寄り道は、失格にならずセーフ」です。この競技の最も過酷な点は「競技時間の長さ」でしょう。そうすると、トイレには確実に行きたくなるので、そこだけはセーフです。このトイレのロス時間をいかに使うかがカギとなるでしょう。
なにせ逆競歩の制限時間は開会式終了後から閉会式直前までの約17日間ですから、歩きながら食事、トイレ、睡眠を済ませなくてはいけません。人間、その気になれば歩きながら寝ることもできるものです多分。
オリンピックに必要な視点の転換
さて、この「逆競歩」いかがでしょうか?オリンピックの歴史を省みると、常に限界への挑戦がありました。しかし、限界というのはスピードや強さだけではありません。弱さ、遅さを競い合う競技が、この速さが第一となった情報化社会へ一石を投じることになるでしょう。
弱さを知る人が、本当に強い。遅い人がいて、速い人も分かる。そんな大切なことを忘れてしまった人類にとって、多くの学びがある競技こそこの「逆競歩」なのです。