隠されてるものほど、知りたくなるもの。
そう、スカートの中のように。
小洒落た飲食店って、ことあるごとに隠れ家になりたい性格です。
まるでまだソバカスが目立つ思春期の乙女。
隠れ家を謳うくせにテレビやグルメ雑種で堂々と店名や場所を晒すお店は全てエセ隠れ家です。
聡明な皆さんなら騙されませんよね。
この街の全店舗はぐるナビにも食べログにも一切掲載されておりません。
特区外の普通の某隠れ家的お店はホームページを持っており、公開された情報として看做されたためにグルメサイトから削除できなかった経緯があったようですが、この隠れ家的特区で営業する全ての店舗はホームページ開設を禁止されているため、少なくとも同様の例は再発しないでしょう。
ネットに公開されていないわけですから、当然グルメ雑誌にも掲載されておりません。
ホットペッパーに載ってるお店は初めから隠れる気などないわけですから、真の隠れ家的お店とはいえないでしょう。
じゃらん? まっぷる? なんかオシャレな女性誌? 地元のフリーペーパー?
どんなグルメ本であろうと、掲載された瞬間に隠れ家失格ですね。
わざわざ隠れ家なんて在り来りなステータスを死守するより、せっかく代わりに宣伝してくれるオープンなメディアに頼るほうが集客効果も売上も安定するから大丈夫。
固執してはいけません。
隠れ家的レストランも、隠れ家的温泉宿も、隠れ家的カフェも、看板を下ろして単なるレストラン、普通の温泉宿、よくあるカフェを標榜したほうが気も楽になりますって。
この隠れ家的特区に居を構えるお店は、そんな妥協などするつもりは毛頭なく、正々堂々と隠れる気満々です。
老若を問わずオシャレな女性にも人気な隠れ家的お店を追求するなら、中途半端に隠れ家を気取ってるようでは甘い甘い。
お店の看板が一切ない街
隠れ家的特区はショッピングセンターも繁華街も、まるで閑静な住宅街。
看板が一切見当たらないからです。
街から全ての看板が消えました。
町並みの景観は保たれているかもしれませんが、少し寂しい風景ですね。
何のお店かは、なんか建物の雰囲気とか立地とかそういうので察してください。
コンビニも、入って見るまでどこのチェーン系列か全く分かりません。
Lチキかファミチキか食べてみるまでローソンかファミマか区別できない街と思ってくれれば分かりやすいでしょうか。
では、どのような方法でお店を見つけるか。
方法のひとつは、リアルな口コミです。
あそこのお店のマカロン美味しいとか、週末にセールする某低価格ファッション店が近くにあるとか、女子が普通にしてる世間話から情報を入手できます。
そんなリア充じゃない多くの一般人は、やはり皆さん自身で開拓されています。
飛び込みですね。
どうぞ勇気を出して、入ったことのないお店に入ってみましょう。
そこはコンビニかもしれませんが、銀行の可能性もありますし、キャバクラだったりすることもあります。
一見さんお断りだったらどうしよう、なんて心配は無用です。
全店舗が隠れ家なこの街では、お店に入ったものの、お目当てと違っていてする退店することなど日常茶飯事なので。
一人でお店をハシゴしまくるのも普通のこと。
途中に気に入ったお店を見つけたら、そこに腰を落ち着けてしまえばよいのです。
意外なことに、隠れ家的特区はガイドブックがなくても、どんなお店にも入りやすい街になりました。