子供の頃のこと、おぼえていますか。
勤労感謝の日とか、おじいちゃんやおばあちゃんの誕生日に手作りの肩たたき券をプレゼントした思い出。
とても懐かしいですね。
しかも10枚セットとかプレゼントしたのに実際は1、2枚しか使われなかったりして。
自分も子供なので、プレゼントしたこと自体をすぐに忘れちゃって。
へたくそだけど一生懸命書いた、かたたたきけんの文字。
一枚一枚が手書きだから、みんなどこか違ってて。
おばあちゃんだって、もったいなくて使えませんよ、そりゃ。
微笑ましいですね。
子供がこんなふうに頑張って手作りした何枚もの肩叩き券。
今日からそれ、本物のお金になります。
高齢者の就職難が解決
さて突然ですが日本銀行券に代わりまして、肩叩き券が日本の正式な通貨になりました。
肩叩き券を発行するにあたり、プレゼントする相手のおばあちゃんがいないと困りますね。
そこで、レンタルおばあちゃんという職業が登場しました。
おばあちゃんの業務内容は、子供から肩叩き券をもらい、そのうちの2割をキックバックするだけの簡単なお仕事です。
身近におじいちゃんおばあちゃんが居ない子供のために、肩たたき券をプレゼントする相手をレンタルするというわけです。
肩たたき券をあげたおばあちゃんからキックバックを受け取って、子供の収入となります。
10枚あげたら2枚返ってくるというように。
残りの8枚がおばあちゃんの報酬、といきたいところですが。
肩叩き券が通貨の場合、所得税は75パーセントです。
8枚のうち、6枚は税金でもってかれます。
おばあちゃんの手元に残るのは2枚ですね。
そこそこ、順当な枚数ではないでしょうか。
これで全国の高齢者の就職難は、一気に解決します。
レンタルおばあちゃんは国家資格
レンタルおばあちゃんは誰でもなれるわけではありません。
資格ですから、適性や取得条件があります。
肩がこってること。
実際に肩たたき券を使われても、たたかれて折れるほど肩の骨密度が低下していないこと。
肩たたきしてあげたい、と感じさせるような肩の凝りかたをしていること。
子供がもし事務的な態度で淡々と肩叩き券をプレゼントしてきても、いちいち落胆したり、小言をいわずに取引を全うできること。
肩たたき券を貰ったときに、おやまぁありがとうね、と、いかにもおばあちゃん的なお礼が言えること。
などなど。
普通の善良なおばあちゃんなら大抵クリアできると思います。
審査基準ゆるゆるですよね。
おじいちゃんのレンタル資格取得条件も似たようなもんです。
レンタルおばあちゃん資格の普及によって、全国の高齢者の皆様に年金以外で一定の安定収入が見込まれました。
有効な労働者として見なされないほどご高齢のおばじいちゃんおばあちゃんも、今では立派な生産者であり、消費者です。
さらにいうと、これまで日本銀行が担当していた通貨の発行と信用付けを、全国の子供と高齢者で日々行えるようになったということです。
これって日本銀行が担っていた紙幣発行機能が、いわばクラウド化されたと見なせるのではないでしょうか。
地味にすごいことです。
子供が戯れに作った肩叩き券が、産業構造を変革するに至りました。
子供、やるじゃん。
ついでに少子化も解決
肩叩き券はだれでも発行できる、というわけにはいきません。
おっさんがおばあさんに事務的に肩叩き券をあげたりしてたって、風情も喜びも感じられませんからね。
肩叩き券を発行できるのは満10才までの子供に限られます。
子供だけです。
通貨を作ることができるのは。
これで何がやばいって、子供のいない人が大変です。
いつもこのブログをお読みいただき、ありがとうございます。
ところで、お子様はいらっしゃいますでしょうか。
おや、一名おいでですね。
ではお子さんを通して、その辺にいるおばあちゃんに肩叩き券を100万枚ほどプレゼントさせてあげてくださいませ。
キックパックの法定比率は2割と定められておりますので、20万枚が子供の取り分となるはずです。
子供からお取り上げいただきまして、今月の家計に充てていただければと存じます。
さて、まだお子さんがいらっしゃらないそこのあなた。
作りましょう。
いますぐ。
えっと、こういうときの、あれあれ。そう。
今でしょっ
だって子供がいないと、生活費にも困るんですよ。
子供は肩叩き券を生む道具じゃない?
そんなきれい事いってる場合ですかっ
会社で働いて稼げばいい?
そういう問題ですかっ
…そういう問題かもしれませんね。
肩叩き券が通貨なので、お給料も肩叩き券です。
ただ、子供がいる家庭のほうが収入が安定するのは確かです。
子ども手当とかいう短絡的バラマキ政策よりは少子化対策に貢献すると考えられます。
ベーシックインカムのようなもの、と例えたら実際に肩叩き券を手作りしておばあちゃんに発行する手間をかけている子供に失礼かもしれません。
あの子たちだって、大変なんですよ。
肩叩き券を増やすのに、コピー機を使う?
プリンターで出力する?
いけませんよ、通貨の偽造で犯罪ですね。
良い子がマネしかねませんので、ご自重をお願いします。
通貨の単位はたたた
肩叩き券は、ひらがなで かたたたきけん。
た、がいくつあるかわからなくなりますね。
たが三つも続く日本語なんて珍しいです。
単位はこれに決まりですね。
缶ジュース1本は120たたたです。
「たた、たかし、肩叩き券を100万たたたもありがとうね」
「お会計777たたたになります。おにぎりあたたためますか?」
「田代…田中…いや多々良君だったかな、キミ、来月から基本給5,000たたた減額だから」
た、多いなー。
少し前からすでに、たという字がゲシュタルト崩壊しています。
通貨の単位が崩壊。
つまり価格破壊。
これがデフレか・・・
肩叩き券。
繊細な通貨です。