天は二物を与えず。サクサク感覚で美味しい完璧なスナック菓子にも、手が汚れるという欠点があります。しかし人類には箸という叡智が備わっている。これには神も苦笑い。おやつを箸で食べる暴挙に打って出ましょう。
ポテチ
至高の味と高い中毒性で世界中の男女をメロメロにしてやまないポテトチップスは手が汚れます。塩分と油でベトベトに。その指についたベトベトを舌でベロベロ舐めとるのが好き、という人も少なくありません。諸事情により手を汚したくない人は箸で食べましょう。
最初はポテチの薄いペラペラを箸先でつまむのが難しいかもしれませんが、すぐに慣れます。むしろ脳トレ的な効果が見込める。ピザポテト、堅揚げポテト、アラポテト。ポテチの味覚に脳を犯されながら同時に箸の動きでリハビリに励めばいいと思います。
カール
悲しいことに東日本で販売が終了し、平成生まれの子供がファミコンを知らないように、これから東日本で生まれる子供はカールの味を知らないで育つんだなあと感慨深くなります。文字通りクリンッと丸くカールがかった形のスナック菓子で、噛んで柔らかくなったカールが歯の裏に張り付いて中々取れないのは誰しもが経験する苦い、いや甘い思い出かと。
表面にはチーズあじ、うすあじ、カレーあじ、コーンポタージュあじなどのフレーバーの粉が厚くかかっており、素手で掴もうものならその甘い匂いが一日中とれなかったものでした。幼少の頃からカールを箸で食べていたら手先が器用になって今頃はプロのフィギュア造形師になれていたかもしれないなあと思う今日この頃です。
スコーン
古来からヨーロッパで上流階級所属のマダムが嗜むアフタヌーンティータイムや、日本で軽音部所属の女子高生が嗜む放課後ティータイムにお茶受けとして親しまれてきたスコーン菓子とは明らかに趣きを異にするスナック菓子のコイケヤ製スコーンですが、値段の割に量が多かったり固めの歯ごたえと濃いめの味付けが人気なおやつ。
和風バーベキュー味と濃厚チーズ味がツートップでどちらも食べ応え抜群。だから指先に付着する謎の粉も大量で、舐めとり甲斐があるというもの。いえいえマナーの規範となる上品なマダムは手をベロベロ舐めたりせず上品にお箸でスコーンを食べます。女子高生はこの限りではありません。
とんがりコーン
とんがりスコーン、なんて言わないよ絶対。指にはめても楽しく美味しいとんがりコーンは、なにせ箱がこれでもかというほど縦長。奥深く肘近くまで手を突っ込んでお菓子を救い出して食べます。普通のジャパニーズチョップスティックでは長さが足りず届きません。
こんなこともあろうかと、さらに長い菜箸を用意しておいたのさ。これでとんがりコーンの最後の1コーンまで美味しく手を汚さずに召し上がれるというもの。
たけのこの里
誤解のないようにあらかじめ断っておくと、なんななナンセンス管理人は「たけのこの里派」というわけでは断じてない。なぜならたけのこの里もきのこの山、両方とも同じくらい購入して美味しくいただいているから。ただほんの少し、たけのこの里を買う頻度がたまたま多いだけ。そこに深い意味はないし、恣意的な偏りを作ったわけでも、ましてやきのこの山と比べてたけのこの里のほうが美味しいだなんて滅相もない。
手で食べるとき、チョコレートでコーティングされているスナック部分が砕けたものらしき粉が指先に付着するのが気になって、箸で食べたら手が汚れなくていいなと思ったときに、その例えとしてたまたまたけのこの里が選ばれただけであって、決してきのこの山がマズいだとか、きのこの山派を全員敵に回そうだなんて思ってもいない次第ですから。
ベビースターラーメン
ラーメンを箸で食べるのは当たり前じゃないですかやだー。その麺が博多とんこつラーメンでいう「バリカタ」であっても「粉落とし」であっても、ベビースターラーメンの「乾麺そのもの」であってもラーメンだから箸で食べる。
他のお菓子のように素手でラーメンを掴んで食べてごらんなさい。未来永劫そのお店で出禁をくらいますよ。短くカットされたベビースターラーメンは箸だと少ししか摘めなくて食べづらい? 大丈夫、最近は長めかつ帯状にカットされたベビースターラーメンや一口サイズの円筒形に固められたキューブタイプもあります。すごい、箸で食べる人のことも考えられているんですね。さすがです。
しっとりチョコ
ややマニアックな菓子メーカーのリスカからチョコ系スナック菓子としては味、食感、コスパあらゆる点で最高峰のしっとりチョコが爆誕していました。セブンイレブンのプライベートブランドにも採用されてますね。特にサクサクの食感で歯茎の喜びようといったら。しっとりチョコのしっとり感に嫉妬。
チョコの他に抹茶味やイチゴ味もありますが、断然イチオシはスタンダードなチョコ味ですね。ただチョコレートらしく人間の体温で簡単に溶けたチョコが指先に付きます。しっとりチョコこそ箸で食べるお菓子に相応しいといえるでしょう。厚みのある円柱状チョコパフなので箸で掴みやすいところもポイント高し。
どのお菓子も箸で食べたくなる魅力が溢れる逸品ばかり。しかし従来の手づかみ食べを否定しているわけでは決してありません。手で持つ感触もまたお菓子を味わう食感ならぬ「触感」といえるでしょう。手を汚しながら駄菓子を食べるのと、箸で綺麗なまま食べるのと、どちらがいいか。そこに正解の答えはありません。きのこたけのこ戦争のように、お菓子的な意味で。