これからちょっと選手の皆さんに、地球上のあらゆる生物の頭をなでなでしてもらいます。
ルールはシンプル。対象の頭頂部をナデナデし続けるだけ。
最も長くなでた選手が金メダルです。
ね、シンプルでしょ? (簡単とは言ってない)
終了条件はいくつかあります。途中で嫌がられたり、吠えられたり、噛まれたりなどした時。手が離れた時。生物を怯えさせてたり押さえつけて動けなくした時など。
なでるターゲットとなる以下の動物はIOC側でご用意致します。
ナデナデ競技を彩る世界各国の動物たち
犬は万国共通の従順なペットです。犬を撫でられないならオリンピックに出る資格はありません。
猫は意外と難易度が高いでしょう。まず接近を許してくれるかどうかで勝敗が別れます。猫の気持ちになりましょう。
イルカに水族館でタッチしたお子さんは多いのではないでしょうか。足元まで来てくれたらお友達を信頼するように撫でてください。
ライオンというと怖じ気付くかもしれませんが、サーカスを見ると分かるように、調教することが可能な動物です。
ハリネズミに生えてるトゲトゲに刺されるからと、試合を放棄するのもよいでしょう。しかし、ライバル選手は確実にトゲの流れに沿って無理のない撫で方を成功させてきます。
アオダイショウの牙と猛毒をいなしつつ、小さい頭を目指します。蛇使いの笛はレギュレーション違反ではありませんので、使えるものならお使いくださいませ。
タランチュラに生理的嫌悪感を覚えているうちは、なでなでマスターには程遠いですね。カンボジアで供されているタランチュラの唐揚げは思いのほかサクサクと美味なんだとか。
教頭先生の頭をガン見すると怒られるのは納得いきませんね。ツルツルだろうとヅレていようと、見ている生徒、いえ選手に罪はありません 。
市議会議員が厳しい選挙戦と市政を勝ち抜いてやっと今の社会的地位を築いたと思った矢先に世界中の観客が見守る中で初対面のオリンピック選手から頭をナデナデされている間、はたして何を思うのか興味があります。
上場企業の社長も経済的余裕と自己実現を達成しつつあり、今回の五輪特需に合わせたサービス展開が概ね結果を出したので、むしろ社員と関係各社と顧客の皆様を撫で撫でさせていただきたい側かと思われますですが、あなた様の頭はオリンピックの一競技の一課題に過ぎないかと存じます。
黒い車に乗ってるこわい人達にとってオリンピックが一体どんなイベントに映っているのか、我々一般人には想像がつきません。もし一緒に世界的なでなで選手の活躍を応援して盛り上がれたら束の間少しだけ平和に近づけるかもしれません。たとえナデナデの魔手が自分の頭に伸びてきたとしても。
脱獄した死刑囚が警察よりも早くオリンピック選手によって補足され、刑務所で刈り上げられた頭部を撫でられただけで放流された時、足を洗って出頭することを考えなかったとしたら。今度は死刑執行よりもはるかに重い頭なでなでを実行するために世界トップクラスの頭なでなで選手が再び現れますので、その節は平和的競技にご協力いただければと思います。
なんか世界を牛耳っている人ってオリンピック競技としての頭ナデナデ競技を禁止する権限とか持ってるんでしょうか。もし無いなら今からオリンピック選手そっち向かわせますんで、とりあえずその頭を撫でさせてもらえますか。ほら、世界牛耳ってる人ってだけでなんかスゴイじゃないですか。そんなヤバイ人の頭撫でたら、おーっ、てなるっていうか。嫌ですか? ダメですよ、だってナデナデ競技を禁止する権限持ってないんでしょ。ねえ、世界牛耳さん。
IOC会長は本競技最後の頭なでなで課題です。2020年の東京五輪が開催される頃に誰が務めているかは定かではありません。IOC会長の頭を、オリンピック選手が撫でる。シュールな光景ですが、これは厳然たるオリンピック競技です。文字通り五輪の頭を担っているんですから、よもやナデナデされるのを拒否するとは言うまいね。IOC会長さんはオリンピック競技の円滑な進行を妨害するはずがありませんから、借りてきたネコのように大人しく頭をなでなでされてくれるはずです。
この競技を初めてご覧になった観客は、今後は他人の頭を気軽にナデナデしないように気を付けると決まって心に誓うそうです。
気付いたんですね。
頭をなでなでする行為は、命のやり取りであることに。