なんななナンセンス

益体もないナンセンスなことを、ある程度は掘り下げて考えた

42.195時間耐久フルアニメマラソン完走を目指せ!(東京五輪新種目)


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クールジャパンを東京五輪で全世界にアピールしたいのに、肝心のアニメが競技化されていないのはおかいしと思いませんか?

アニメ視聴は精神力を鍛え、アニメ制作は体力の極限まで酷使され、共に幸せを感じられる。まるでスポーツのようではありませんか。

三度のメシよりアニメが大好き。そう自負する世界中のアニメファンの皆さんに、その本気度を競ってもらいましょう。

42.195時間ぶっ続けで一睡もせずアニメを視聴する夢のようなオリンピック新競技。アニメ大好きな皆さんなら簡単すぎて完走は当然ですよね。

会場は薄暗い自分の部屋

昼も夜もカーテンは閉め切り、空気は澱み、テレビやパソコンのモニターから漏れる青白い光だけが室内と主の顔を照らす、いかにもアニメとネットだけが趣味な引きこもりニートの部屋が競技会場です。

薄暗い環境は眠気を誘い、電話は鳴らず、食事は時間が来るとママンがドアの外の床に置いて去ります。まさに長時間のアニメ鑑賞にはうってつけ、しかし寝たら失格というルール上、過酷な種目となるでしょう。

カウチポテトスタイル

ぐーたらカウチソファに寝っ転がってポテトチップス片手にアニメ鑑賞。まさに至福の時。全国のアニメオタクが愛してやまない、骨をうずめても構わないほど渇望している怠惰なアニメ鑑賞環境ではありませんか。欧米ではケーブルテレビを観る際の一般的なカウチポテトスタイルが、フルアニメマラソン競技の正式な試合場です。

前半は過激アクション系アニメで体力を消耗

観るアニメのタイトルも順番もルールで規定されています。まず序盤は観ていて疲れるような体力を消耗する激しいアクションアニメを。例えば血と硝煙の臭いがこびりついて離れない「ブラックラグーン」。

ルーマニア孤児の双子は救われませんでしたね。日本編の特殊な立場にあった女子高生も酷い目に遭いました。観ている五輪選手の心も容赦なく削られそうです。

中盤はお涙頂戴感動アニメが心を揺さぶる

あかん、紹介しようとストーリーを思い出そうとしただけでまた涙が込み上げてくる…アクションアニメで汗を流したあとは、感動系アニメで涙を流していただきましょう。オリンピックはスポーツですから、体中の水分を奪わないとね。

「あの花」こと「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」、「花いろ」こと「花咲くいろは」などを立て続けに鑑賞すれば、枕どころかカウチソファのクッションまでが百涙の雨でダダ濡れ間違い無し。

後半は眠りを誘うほのぼのリラックス系アニメ

根強いファンも多い癒し系ヒーリングアニメの金字塔「ARIA」。いや、あのアニメは面白いから途中で寝るなんてもってのほか! とファンからお叱りを受けそうな42.195時間耐久フルアニメマラソン競技に採用です。寝たら負けなのでテレビシリーズ3期分+OVA+劇場版を連続で完走していただきましょう。

また、スヤァ…と安眠を約束してくれそうな穏やかオープニングで始まる「蟲師」もオススメのリラックス系アニメ。静かで豊かな情感を心にもたらしてくれる上質なストーリーと演出が、アニメフルマラソンの完走を諦めさせようと牙を向きます。

ラスボスは同じ話が8回続くあの某アニメ…!

競技も佳境。そろそろ安らかな眠りの谷へ墜落していく選手が多発する頃。ここでダメ押し、同じエピソードを8回連続で実際にテレビ放映した伝説のアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」二期。通称エンドレスエイト。作画や脚本のディテールは若干異なりながらも毎回、同じ始まり方、同じオチで終わり。

デジャビュか? もしかして間違って先週の放送回を二度観ているのか? 疑問と混乱を極めた精神状態を提供します。寝不足の頭に同じ話を延々観せられる退屈さはさぞ苦痛でしょう。8回目に永遠の夏休みから脱却に成功してカタルシスを得られますが、それまで寝落ちせずに鑑賞を続けられたらの話です。

しょうがないからサドンデス

このアニメマラソン競技ルール最大の欠点は、42.195時間後に複数の競技者が目覚めており、優勝者が決まらない状況です。同着で金メダルはありえません。しょうがないから、最後の一人になるまで不眠不休でずっとアニメ鑑賞を続けていただきましょう。あれだけ大好きなアニメですから、造作もないですよね?

スポーツに危険はつきもの。アニメの見過ぎで体調が悪化して最悪、死に至る可能性もなくはない。アニメファンとして冥利に尽きるとはこのこと。殉職、いや殉教と呼んであげるべきでしょう。40時間以上も寝ずに睡眠不足で心臓発作。誉れ高いことですね。羨ましいなあ。

いまや世界の子供から大きいお友達にまで欠かせなくなったアニメ鑑賞。ポテチ食べ放題のソファでアニメにどっぷり浸る42時間を、2020年の東京で満喫してみませんか?