今年は帰省するんですかぁ?
聞く人には他意などありません。
今年「も」「一人で」帰省するんですかぁ?
だったらイラッときても仕方ないかもしれませんけど。
毎年聞かれる人は、きっと感じているでしょう。はいと答えても、いいえと答えても、負けた気がすると。
拙者、産まれ故郷を捨てましたゆえ帰る場所など持ちませぬ。男なら一度くらいは吐いてみてもいいかなと思える台詞。
忍びの里はストリートビューカーから忍んでいるためGoogleで検索しても出てきません。
Yahoo! Japanの登録サイトに列挙されているようなエセ忍者の里など、世を忍ぶ仮の姿でありニセモノです。
真の忍の里は謎に包まれていて、場所や行き方が分からないからこそ忍の里なのです。
実家がある片田舎の故郷が街おこしの一環として、町全体を忍の里へリフォームするという選択があります。
表向きは存在しない故郷
あの人、いつもどこに帰省してるんだろう。
疑問に思われても、それを解明させてはなりません。
誰にも居場所を悟られないこと。
それが忍の里の宿命。
日本最大手の地図制作会社ゼンリン様ですら街の緯度経度を特定できません。
ここは出身者だけが知っている秘密の場所。
親に恋人を紹介したいから実家へ連れて行く?
ダメダメ。その恋人さん、忍者でも何でもない一般人でしょ。
忍者の掟も守れない人は立入禁止。
どうしても足を踏み入れたくば一生涯、忍の者としての他言無用の契りを交わして頂きたく候。
全世界に360℃全方位を晒すストリートビューカーなど、もっての外。
進入禁止です。当たり前ですね。
衛星写真にも捉えられることがないように満遍なく背の高い木を植林し、上空からはただの森林にしか見えないよう街全体に迷彩を施すという徹底ぶり。
だからといって交通の便が悪いかというと、実は意外と快適。
伊賀の里、甲賀の里、雑賀の里、柳生の里、それぞれに対応した最寄り駅があり、道の駅やバス停が存在します。
といっても我々一般人には見分けがつきません。
やけに頻発する電車の信号待ち停車、それほど安くないのに大繁盛している野菜の路上販売、普段は平然と通り過ぎる道端の小さな地蔵。
忍の里への入り口は、日常生活の延長線上にこそ存在しているかもね。