一般的なフルタイムの会社。
9時から17時か18時まで働いて、お昼に休憩を一時間といったところでしょうか。
まるで悪夢のような会社ですね。
一日8時間も働くなんて、まったく狂気の沙汰です。
当社は違います。
朝、会社に着きました。
タイムカードをガシャンとつけたら。
まずは休憩です。
9:00 ~ 12:00 休憩
おはようございまーす。
休憩入りまーす。
みなさん思い思いに休憩してますね。
午前中の休憩時間は3時間です。
休憩。
じつに良い響きですね。
3時間。
パソコンでネットを見たり、スマホをいじったり。
年配の方なら新聞を広げてお茶をすすることでしょう。
コンビニへお菓子を買いにいくスイーツ社員の姿もありますね。
喫煙者なら喫煙所へ直行したっきり出てきません。
どんな内緒話に花を咲かせてることやら。
これが朝から昼まで午前中、ずっと続きます。
サボりではない。
繰り返す、これはサボりではなく就業規則に則った正規業務の一環であるのです。
超絶ホワイト企業じゃないですか。
はじめっから分かっていたことですが。
むしろ休憩のし過ぎによる生活習慣病の蔓延が問題化します。
休憩過多のため体調を崩し、労災申請が急増。
お昼からの労働業務時間が来る前に、何故か早退する者が後を絶ちません。
何しに会社へ来たのかと。
12:00 ~ 13:00 超労働
そして正午12時。
待望の、いえ地獄のハイパーお仕事タイムです。
12時から13時までの一時間で、本日のタスクを猛然とこなし、一日分の成果を上げていただきます。
スーパープログラマーと呼ばれる人種は、そうでない普通のプログラマーよりも生産性が100倍以上も高いそうです。
この能力差に比べたら、1時間で8時間に匹敵する仕事をするのなんて、チョロいですね。
窓の外ではノーマルな他社の中年ホワイトカラーやタイトスカートOLたちがのんきにコンビニとランチバイキングへ殺到しています。
なんというありふれた光景。
世間一般では、お昼休みなどと呼ばれているようです。
微笑ましいですね。
平和の象徴です。
わが社にはそんな生温い福利厚生は存在しません。
お昼の一時間で本日の全業務を遂行する必要に迫られます。
無駄口をたたく勘違い社員には務まりません。
社をあげて全精力を注ぎ、この修羅場を切り抜けようと必死です。
ブラック?
いいえ、超絶ホワイト企業でしょう。
なにせ休憩時間が合計8時間もあるんですから。
13:00 ~ 18:00 休憩
丸の内OL女子たちがセレブ臭を振り撒きながらオフィスに戻り始める頃、当社で本日の全業務を終えた者から午後の休憩タイムに入り始めます。
午後の休憩時間は5時間です。
どうかしていますね。
今更ですが。
五時間もの間、何をしていましょうか。
最初は誰しもあまり有意義とはいえない暇潰しや遊びで時間を浪費するかもしれません。
割とすぐに、この長すぎる休憩時間を何か良いことに使えないかと考え始めるのではないでしょうか。
英会話や資格の勉強など、ありがちですね。
社内で上を目指す方向のアツい人なら社内起業の企画立案などに精を出します。
技術畑なら新規ウェブサービスの開発、面白いガジェットの設計とか?
Google社の20%ルールでしたっけ。
今もあるのかな?
あえてそういうセッティングをしなくとも、常識では考えられないほど大量の休憩時間を与えたら勝手にイノベーションが起こってくれたりしちゃってね。
なんてね。
イノベーションは、そんなに甘くない。
とっろとろに蕩けるような、甘い考えです。
とある怪異が頻発する界隈では「見蕩れる(みとれる)」にあやかって「蕩れ(とれ)」と抜き出した言霊が「萌え」並に粋な表現だそうでして。
一方「蕩ける」と書くと、これ、じつは「とろける」と読めちゃいます。
蕩けるような甘い恋も、こう書くみたい。
ご存知でした?
そんな小説を執筆したり、趣味に生きるなら絵を描いたり、作詞したり。
読書と書評を交互にするのもいいですね。
アフィリエイト収入も期待できます。
もはや何が本業なのか分かりません。
そもそもお仕事したの1時間だけだし。
あ、午後3時位に眠くなる人っていると思います。
私もそう。
大丈夫。
休憩時間中なので自由ですよ。
シエスタでも何でも、お好きなだけ。
やっぱりこの会社おかしいって?
よくお気付きになりましたね、その通り。
そうこうしてるうちに業務終了の18時。
みんな大好き、定時です。
18:00 ~ アフターファイブ
今日も一日、長かったですねー。
休憩、いや仕事がね。
タイムカードを押して帰宅しましょう。
休み疲れた?
何をおっしゃいます、頑張ってお仕事したではありませんか。
フルタイムの中の、小一時間だけ。
キツかったですね。
いやぁ今夜も約1時間の労働でビールが旨い。
晩酌ついでにまとめ
休憩時間と労働時間を入れ替えても、仕事の後の一杯は相変わらず美味しいということが分かりました。
新発見・・・ではないですね。
毎日のように実感してるはずなので。
明日も朝から出社して、たくさん仕事、じゃなかった休憩します。
休憩中に小説の続きを書いて、出版を目指すことにしましょう。
念願の書籍化を果たしてそこそこ売れたら、そのときは。
晴れて会社を辞めようっ
あれ、でも執筆って、ほとんど勤務中にしてるなあ…
もしかして、どれだけ副業が潤っちゃっても。
実際にそれやってる場所はオフィスだから、退社する必要なくね?
つまりその、お給料貰いながら副業しても良いってことで。
ほんとにもう何の会社だか分からないけど、すごく良い会社ではあるらしい。
労働時間が少なすぎて、労働基準法的に大丈夫でしょうか?
逆に心配になってきました。
これでお昼1時間のハイパーお仕事タイムさえ無ければ完璧なんだけどなあ。
そしたら晴れて開き直って、社内ニートするのになー。
おや、あなたも?
そちらも?